ICA関西に所属する会員によるリレー形式で「室内装飾新聞」に「ICの視点」と題してコラム掲載しています。
3月号は、田中カオルさんに担当していただきました。

室内装飾新聞3月号より

『ICの視点』 ~ ライフスタイルの変化と提案力

私の業務は、住宅の内装設計とコーディネートです。今回は昨今のライフスタイルの変化とICの提案力について私見を述べたいと思います。

【1.今どきの流行】

今どきの施主様はSNSの情報を丁寧に検索して「こんな暮らしがしたい」とイメージを膨らませて来られ、要望が多種多様になったと感じています。

1-①ランドリールーム

収納家具を含めたトータルな提案を求められることが多くなりました。棚は既製品より造作にしたい人がほとんどです。シューズクローゼット、ファミリークローゼットも同様。家事の時短を優先したいというライフスタイルの変化ですね。

1-②壁掛けテレビ

昨今は、戸建ても「テレビは壁掛けにしたい」という人が多くなりました。動画を鑑賞したりゲームをしたり、他用途にテレビを利用しているという人が少なくありません。

一方、テレビはほとんど使いませんと言う人も増えてきました。スマホ・タブレットなどで動画を鑑賞するスタイルに変わりつつあります。

また、数年前から、天井にBOSEスピーカーを付けたい、動画を映すためのプロジェクターを(LDや主寝室)天井に取付けたいという人も増えました。

これまで以上に、映像を見る環境にこだわりたいというライフスタイルの変化ですね。

家具レイアウトに大きな制約がうまれる要因だったテレビの置き場所問題。テレビを見るときだけのためのソファを置く、ということもしばしばでしたが、今後はテレビを主役にしない家具レイアウトや内装、リフォームのご相談が増えていくだろうと予測しています。

1-③ 照明計画

一室一灯から、ダウンライトやペンダントライト、スポットライト、建築化照明を併用した一室多灯のご要望が多くなっています。例えば、壁掛けテレビの背面壁にコーニス照明を仕込んだ写真を見て「こんな感じにしたい」という人が増えました。同時に照明にこだわりたい壁には高窓を計画しないなど、施主様の要望を叶えるための課題も見えてきました。

1-④ 床材

木質系フローリングが一般的でしたが、昨今は商業施設等で多用されている塩化ビニル樹脂系フロア材(塩ビタイル、フロアタイルとも呼ぶ)を貼りたいという人が増えました。SNSの影響でしょうか、柄は木目柄より石目柄が圧倒的に多いです。

各メーカー共、全厚2㎜ほどなので既設の床に重ねて貼れてリフォームにも適した材料というのが人気の理由だと思います。

1-⑤手洗いカウンターを設置

コロナ期間中、多くのSNSで発信されたのが玄関に近い廊下の手洗いカウンター(造作)です。既製の洗面台を設置するのではなくペンダントライトや建築化照明を併用して雰囲気のあるコーナーにまとめるのが主流です。

【2. 提案力と施工力のコラボ】

前述の通り、昨今「こうしたかった」を代弁してくれるSNSが大変盛り上がっています。

私は、インテリアにお金をかけようとする人は、「想像を超える提案力」と「施工力」で素敵な暮らしを叶えてくれる会社・店・人を求めていると感じています。

施主様は、今までの不満が解決してやりたいことに変わると、やりたいことがどんどん膨らんでワクワクする→ 会話が楽しくなって→ 不満が解決したらそれで十分だと思っていた価値観まで変わっていきます。人は、価値観が同じ人にお願いしたいのが当たり前。ですから、「この会社と一緒にやりたい」「この設計者・ICと一緒に世界観を作りたい」という価値観の共有が重要だと思うのです。

私は「言われたことしかしてくれない施工会社が、未だ多い」なんて聞くと少し寂しい気持ちになります。日々、ヒアリングを通して「へー、こんなのも面白いね」「これがやりたかった!」を提案できるのはICだけという想いで奮闘しています。

ぜひこの紙面に目を通してくださっている皆様、「これがやりたかった!」を提案できるICと協業してください。他社と競合しない提案力がリピーターを増やし、また知人を紹介してくれ売上げアップに繋がるはずです。

最後に、「こんなのも面白いね」と言ってもらった事例写真をご紹介します。

私は、「自分らしいインテリアは楽しい!」ということを多くの人に体感していただきたいと願っています。

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洗面とトイレを一室にまとめた部屋

アイアン作家が手作りした階段手摺

カーテンをバーチカルブラインドに変更する提案

シーリングライトをペンダントライトに変更する提案

ラシックプラン  田中カオル