ICA関西に所属する会員によるリレー形式で「室内装飾新聞」に「ICの視点」と題してコラム掲載しています。
3月号は、林 晶さんに担当していただきました。

室内装飾新聞3月号より

『ICの視点』 ~ ヘルシンキデザインウィーク2024レポート

昨年9月、ヘルシンキデザインウィーク2024に参加するためフィンランドを訪れました。

ヘルシンキデザインウィークは、ヘルシンキ市内各所にて開催される北欧最大のデザインと建築の祭典です。

3つのメイン会場と各ショールームで、展示会やワークショップ、セミナー、ファッションショーなど、100を超えるイベントがあります。

2024年のテーマは「Underneath」

表面的なデザインだけではなく、深く掘り下げるというテーマなのかなと想像しつつ会場へ向かいました。

まずはイベントのひとつ、デザインマーケットへ。

デザインウィークがスタートする週末の開催で、ファッションや服飾小物を中心に、家具やインテリアのお店も多く出店されています。

1点物の商品や、中古やヴィンテージもの、また有名ブランドの古いシーズンモデルのお買い得商品などもありました。

デザインマーケットは毎年大人気だそうで、私が訪れた際もたくさんの人で大賑わい!

いろんなお店の方が日本人の私にも話しかけてくださって、スマホの翻訳機能にたよりつつ、お買い物を楽しみました。

メイン会場では、マリメッコデザインのバーが設けられ、リラックスできる空間でディスカッションイベントが開かれていました。

いわゆるセミナー会場とは違い、とても開かれた雰囲気です。

ベビー連れで参加されているご家族もおられました。

各インテリアショップやショールームでもイベントが開催されており、Artekをはじめ、FASETTI、FINARTE、aarikka、Carl Hansen & Sonなどさまざまなショールームを訪れました。

どのショールームでも素敵な色遣いや組み合わせに目を奪われます。

デザインウィークは思ったよりもこぢんまりとしていて、参加型のワークショップや子ども向けのイベントも多く、デザインの専門家だけのものではなく、市民との距離が近いイベントなのだと感じました。

また別のイベントであるHabitare 2024も開かれており、こちらへも足を運びました。

Habitareは日本でいうところの東京ビッグサイトで行われるインテリアの見本市のようなイベントです。

2024年のテーマは「Layers」で、家、空間、物が重なり合う“生活感”に焦点を当てているそうです。

こちらもまわりきれないほどの出展数。日本からの出展もみられました。

日本でのインテリアの見本市を想像していたため専門家向けかと思いきや、こちらの会場もファミリーで来場されている一般の方も多く、子ども向けコーナーもありました。

とても楽しそうで、わたしも子どもたちが小さいころに一緒に参加してみたかったなと思います。

デザインウィークとHabitare、どちらにも共通して感じたのは、デザインが専門家の特別なものではなく、子どものころからデザインに触れる機会があり、デザインが生活に根付いているということ。

SNSでたくさんの素敵なインテリア写真を見ていると、あれもこれもいいような気がして、自分にとっての理想の暮らしが明確になっていないなと思う場面が自分自身も含めてよくあります。

住まいは毎日を過ごす場所。

自分にとってどんな暮らしが幸せなのかを考え、その暮らしを実現するためのインテリアや間取りを住まいに取り入れることは、人生の幸福度を上げると思うのです。

フィンランドが国連の世界幸福度ランキングで上位なのは、もちろん自然環境や社会制度などの背景があると思いますが、こうしてデザインが身近にあり、自分にとっての居心地のよさや理想の暮らしを考え、住まいに取り入れていることもひとつの要因なのではないでしょうか。

人生の幸福度があがるお部屋づくりをしていきたいと改めて感じたフィンランドの旅でした。

ヘルシンキデザインウィークは今年2025年に20周年を迎えるそうです。

ますます盛り上がりそうなデザインウィークにまたぜひ訪れたいです。

デザインマーケット

マリメッコデザインのバー

FINARTEショールーム

Habitareキッズコーナー

  林 晶/RIOS