ICA関西に所属する会員によるリレー形式で「室内装飾新聞」に「ICの視点」と題してコラム掲載しています。
11月号は、谷口江利子さんに担当していただきました。
『ICの視点』 ~ 「ウインドウトリートメントの提案について」
窓装飾(ウインドウトリートメント)とは、カーテンやブラインドなどを使用して窓廻りをきれいに整えることを言います。その際、実用性と装飾性の両方を考えないといけません。
私はウインドウトリートメントの提案が得意なインテリアコーディネーターとして日々仕事をしています。
長年経験をして感じたことをお伝えすることで、何かお役に立てれば幸いです。
日頃からウインドウトリートメントの提案をするたび、残念に思うことがあります。新築・リフォームにかかわらず、商品選びにあまりこだわりが無い方が多いことです。
原因のひとつとしてご予算が足りないということがありますが、ウインドウトリートメントはお部屋のインテリアを作るうえでアクセントにもなりますので、ぜひこだわってほしいと思っています。もしご予算があまりなくても、調整をしながら提案できることもありますので、まずは「こうしたい」という想いを伝えていただけると、素敵な空間をつくる手がかりになると思います。
さて、最近のウインドウトリートメントについて、少しお話しさせていただきます。年代別にみると、40・50代以降の方はカーテンを希望される方が多く、20・30代の方はブラインド類を選ぶ方が多いように感じます。シンプルなインテリアや内装材に合わせやすいという点で、最近、メカ類はとても人気があります。
打合せでは、両方のメリット・デメリットを説明して、好みと実用性をすり合わせながらスタイルを決定していきます。そのために大切なのはお客様の情報であり、丁寧なヒアリングは欠かせません。窓の向きや形状、近隣の環境はもちろんのこと、家族構成、好みや生活スタイルなどをお聞きし、図面上の打合せが多いので、取付けたときのイメージも伝えるようにしています。
最近は、メカとカーテンを合わせたようなこんな商品もあります。(タチカワ・エアレ/写真)
ところで、打合せの際、カタログが見づらく焦ることはありませんか?(特にメカ類ですが・・・)「知りたいことがすぐに探せない」「仕様によって選べるものと選べないものがあるけどわかりにくい」など、落とし穴がたくさんあり、結果、発注ができないことやミスも・・・私も何度か失敗したことかあります。もっとシンプルでわかりやすくなるといいのですが、仕様がどんどん細かくなり、なかなか難しいようです。しかしながら、カタログをしっかり読めると打合せはとてもスムーズになりますので、まずは1社からカタログの見方を熟知してみてはいかがでしょうか?
ウインドウトリートメントはほとんどがオーダー品のためお客様からクレームを受けることも多々あります。私も何度か経験がありますが、特に最近のクレームは内容が細かく対応も一苦労です。もし作り直しとなると、大きな金額になることもあるので、クレームを出さないよう打合せの段階で配慮するとことも重要です。
打合せでは、品番や色の最終確認はもちろんのこと、生地や素材の特性上、オーダーとはいえ製作には限界があるということ、使用するうえでの注意点などをしっかり伝え、納得のうえでご購入いただくという流れで進めていきます。もちろん選ぶ商品によって伝える内容は変わりますし、お客様が「何が聞きたいか」「どう伝えたら安心していただけるか」を考えながら言葉を選んでいます。
また、私自身、提案から契約だけでなく、採寸・施工の際に現場へ積極的に足を運び、勉強をさせていただいたことで、クレーム回避のヒントを見つけることもできました。納まりがわかると提案の幅も広がり、お客様にも大きく信頼していただけます。
打合せについては、取付予定からおおよそ3ヵ月くらい前にスタートさせることが多いです。ただし、商品の取付けに際して、造作が必要な場合や、電動を考えている場合などは、設計の段階から打合せが必要になります。商品の製作期間や現場の状況、職人さんの予定など考慮し、余裕をもって計画をすることが大切です。 特にメーカーのカタログ入れ替え時期や繁忙期には、生地や商品の欠品が発生することがありますので、早めの対応も必要です。
また、成約するためにショウルームの力を借りることもあります。実際に商品を見ることでお客様のテンションが上がるからです。特にメカ類の場合は実際に商品を見ると説得力が増し、決定率がぐんと上がります。さらに仕様の確認や決定をすることができるので、間違えも起こりにくく、結果的に時短となります。
ウインドウトリートメントは内装や家具、カーペット、照明などとの調和が求められ、無難な提案になりがちですが、提案する側は常に商品知識を更新しながら、現場での経験を重ねて、お客様の一歩先を行く提案ができるように、努力を惜しまず日々学んでいくことが必要だと思います。
谷口江利子/enfleur