ICA関西に所属する会員によるリレー形式で「室内装飾新聞」に「ICの視点」と題してコラム掲載しています。
5月号は、山中由美さんに担当していただきました。
植物の力
「バイオフィリックデザイン」近年、注目されていますが、よく理解していないという人が多いのではないでしょうか。
バイオフィリックデザインとは、「人間の、本能的に自然と結びつきたい」という潜在的欲求を満たす要素を建物に取り入れたデザイン手法です。
ハーバード大学のウイルソン博士らが提唱した『バイオフィリア』(「バイオ=生命・生物・自然」と「フィリア=友愛」という2つの言葉が組み合わさった造語)の「人間は、自然を感じられる環境で健康や幸せを得られる」という仮説が元となっています。人は生まれつき自然が好きで、自然と結びついていたいのです。
まずは、部屋の中に植物を置いてください
植物を室内の目に触れる場所で育てると癒され落ち着きます。植物を眺めることで、副交感神経を刺激し、リラックス効果につながります。そればかりか、二酸化炭素を吸収し地球温暖化の抑制、シックハウス症候群の原因でもある揮発性有機化合物の吸収も期待できます。
植物からの蒸散作用により室内の湿度調節にも効果があります。
現代のストレス社会において、バイオフィリックデザインは時代が求めている社会環境です。
オフィスでは、植物の力で働く人たちのストレスを軽減させ、作業能力をアップさせます。
人はストレスから回復すると、集中力が高まりミスが減り、リラックスするとアイデアが生まれます。
健康であれば生産性が向上するのです。
ただ、植物を室内に置くと、虫が寄ってくる。土にカビが生える。部屋が暗くて植物が育たない。
水をあたえるタイミングがわからない。など、不満の声も聞こえてきます。
大丈夫です。
ハイドロカルチャーという、粘土を高温で焼き上げたレカトンを使った水耕栽培の方法があります。
水だけで育てるので、清潔で、水の管理も楽です。
光は、植物育成ライトも市販されているので、使用してみてください。
小さな植物でも、緑があるだけで、部屋の雰囲気は生き生きとした空間に変わります。
植物の力を信じて、自然と共に健康的な日々をおくりましょう!