8月31日の企画勉強会では、京都市の内装施工会社、インテリアホソイ様による、近畿大学との共同研究の結果を披露していただきました。その内容の一部と感想を、レポートとして報告いたします。

【内装業界が抱える課題を解決したい】

初めに内装施工にまつわる、現状の課題(・建築の仕上げ段階に当たるため、打ち合わせが後回しになりがちで、選択肢が少ない・それによって、お客様に完工後の後悔が多い・工期が短い ・選択条件が価格のみになってしまう・職人がやりがいを感じられず志望者少ない、等々)、そしてそれを打開するために、これまでホソイ様が取り組まれてきたことについてお話がありました。

近大での施工の様子

【実験内容と結果】

気になる実験の内容は、大学内の3室をベーシック、ウッディ、ラグジュアリーの3つのパターンに改装し、それぞれの部屋で15分ずつ過ごした時の被験者の反応を数値化して比較するというもの。
結果を簡潔にまとめると、ベーシックな部屋では落ち着いて過ごすことができ、ウッディ、ラグジュアリーの部屋ではワクワクし、退屈しないというものでした。

このことにより、インテリアの仕上げの違いがお客様の心理に影響を及ぼすという事、さらに内装仕上げについて、建築の設計段階から提案することが大切という結果が導かれていました。

並行して、床材の触感による好みの比較実験もされ、石材、木の無垢材、毛足の長めなカーペットの3つの床材の目隠しをして立った時の感じ方を測定されていました。
その結果が衝撃的で、一番「好き」と感じられていたのはカーペットでしたが一番「好き」が少なかった石材と比べてその差は10,267倍、無垢材と比べても3,034倍という圧倒的な差がありました。(セミナー内で提示されたグラフを元に水田が計算)

近大での打ち合わせの様子

【この結果からICとしては何ができるか】

今回のお話は内装施工会社としてのホソイ様の立場からのものでしたが、インテリアコーディネーターとしての立場で、このセミナーをどう位置付けて今後に生かすか、水田なりに考えてみました。そのヒントが質問タイムにありました。
実験では、「ベーシックな部屋」と、「デザイン有りの部屋」の比較がクローズアップされていましたが、「さらに掘り下げてインテリアスタイルの違いによる心理変化についてはどう考えるか」、という質問に対して、細井社長からのお答えは「どんなことで落ち着いた気持ちになったり、わくわくしたりするかはお客様によってそれぞれ違う。ヒアリングで好みをしっかり掘り下げて聞くことが大切だと思う」というものでした。
まさにそこを担うのがインテリアコーディネーターの役割です。「お客様がその部屋に求めている事は何か」をしっかり聞き取り、「その為にどんなインテリアが必要なのか」を提案に落とし込むスキルが、インテリアコーディネーターにますます求められていくということを、再認識しました。

No.208 水田恵子