ICA関西に所属する会員によるリレー形式で「室内装飾新聞」に「ICの視点」と題してコラム掲載しています。
2月号は、西尾直子さんに担当していただきました。

室内装飾新聞2月号より

『ICの視点』 ~ 「海外視察で再確認したインテリアの魅力」

初めまして。私は東京のインテリアデザイン会社にてモデルルームのコーディネートや個人邸リノベーションデザインに携わった後、10年間の海外(セブ・バンコク)生活を経験しました。2025年東京から大阪に拠点を移し、インテリアコーディネートに繋がる不動産やインテリア関連企業との業務提携を通じて、ICとしてホームステージングやイベント等活動させて頂いております。
この度、スペイン、フランス、タイ、台湾を訪問し、最新の海外インテリアを視察してきた後、感じている事について述べさせて頂きます。  


1. ヨーロッパ視察で触れた、生命感あふれる「表現の土壌」


 スペイン・バルセロナでガウディ建築を見学した際、私はその躍動感ある有機的な曲線デザインや鮮やかな色彩の美しさに感動しました!そこには自然な通風を促す工夫や計算された採光等、機能美との調和がありました。
スペイン在住の友人より聞いた話によると、カタルーニャ地域に根付く独自の文化的背景、そこに暮らす人々が手仕事を愛し、機能性よりも感動やユニーク性を大切に育む土壌があり、世界的に有名な天才を数多く輩出してきたとの事。 
日本での常識との違いやその有機的なデザインの中に圧倒的な生命力に感銘を覚えました。バンコク在住の頃、スパ店舗リノベの際に私はDYIで壁を塗って仕上げたり、現地企業の社長邸宅をアイディアで改装した経験もありますが、日本では細かい縛りが多く、少し窮屈な環境にあると感じています。

2. 「効率化」よりも本質的価値の再認識

今、自然との繋がりを重視する「バイオフィリック・デザイン」への関心が高まり、家具のデザインも柔らかい曲線が増えてきました。一方、日本には古来より和紙や漆等の素晴らしい伝統工芸があり、海外では「ジャパンディ」や「禅」スタイルなど高い評価を受けています。しかし日本国内では効率化が進み、和室は洋室に改装され、私も欧州のインテリアを提案する機会の方が多いのが現状です。我が国の手仕事や伝統工芸は廃れてきていますが、その温もりや味わい深い素材感は単なる効率性だけでは得られない価値ある本質と再認識し、日本人のICとして何ができるかを模索中です。
「シャネル」によって職人技術を未来に継承するため、パリに複合施設「le19M」が設立された流れから察するに、今後はデジタル化が進む心が乾いた現代だからこそ、手仕事や伝統工芸などの本質が人々の心の豊かさを満たす要素になっていくと思われます。

3. 不動産価値を高める「ICによる設計前からのソフト提案」

インテリア提案する際、心地よい壁素材、色彩や照明を心掛けておりますが、もし設計の時点から関わらせて頂けたら、ソフト面からお役に立てることがあります。 物件購入後に、「インテリアが気に入らない」というミスマッチで再リノベを依頼されるお客様は少なくありません。施工段階からICが協働させていただく事により、無駄な費用を抑え、不動産価値をより高める事が可能となると思います。
例えば、設計前に照明計画を入れることができれば、費用を抑えつつ間接照明による素敵な空間演出ができますし、動線など効率的な空間利用のアイディア提案が可能なので、もっと積極的にフリーランスのICを活用して頂ければ幸いです。 

4. 最新テクノロジーと伝統の調和が、社会課題を解決する一端に 最近、お客様のご要望に寄り添いながら価値あるインテリア計画をするため、建築士や不動産企業との提携し、物件情報の提供も始めました。私は、自然素材や伝統工芸など手仕事の温もりを大切にしながら、同時に最新IoT等スマート化を取り入れることによりセキュリティー向上や人が人と触れ合うことができる空間となり、日本社会の問題、特に人材不足の解決の一端になると考えています。
海外での経験などにご興味ある方、まだこちらではお伝え出来ない程の情報がありますので、ご一報頂ければ幸いです。この度は最後までお読み頂き、ありがとうございました。

  西尾直子 /MUSE DESIGN

www.musedesign.jp