10月の勉強会は京都市左京区北白川界隈の建築物やインテリアを見学しました。 

当日は10月も半ばを過ぎたというのに、京都は25℃を超える暑い日となりましたが お天気にも恵まれ軽装で探索するアクティブな会となりました。 

駒井家住宅・喜多源逸邸は、隣同士で建っておりほぼ同時期に建築されました。 

駒井家住宅の設計はウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計のヴォーリズ建築で、アメリカンスパニッシュスタイルの外観はアーチ状の窓とスタッコ仕上げに和瓦で、室内の天井も高く、特徴的な階段は吹抜けに曲線的なデザイン。蹴上は17㎝という当時には珍しい緩やかなものでした。壁厚を利用したり、階段下であったり、ソファの下など各所に工夫された収納が作られており、大変興味深いつくりでした。家具は、当時夫人が外国からカタログをもとに取り寄せたものですが、空間に合ったサイズ感で調和しています。家具やビアノ、蓄音機も当時使われていたものが多く残されていました。朝の連ドラ“マッサン”のヒロインの実家として撮影されてこともあるそうで、ドラマのシーンと合わせて見てみるのも見どころの一つです。 

喜多源逸邸は、駒井家邸の印象から大きく変わり、木造瓦葺き2階建ての和風建築で、庭もきれいに整えられていました。大きな格子窓からの眺めは素晴らしく季節の移ろいや、天気などどれも風情があるものに見えそうです。 

喜多邸の設計は藤井厚二、大工は酒徳金之助で聴竹居(京都:大山崎)と同じで、細部にこだわりが窺えました。特に印象に残ったのは中央の小上がりの和室のエピソードです。 

床レベルより35㎝高いこの部屋は同居されるお母さまが、絶対椅子には座らないと仰ったことから、母親を見下ろすわけにはいかないと、床を上げるに事にされたそうです。 

現在の喜多邸は北欧アンティークのオーナー夫妻が住居兼・インテリアの展示販売をされており、ポールヘニングセンの小さな照明や低めのビンテージの家具が空間に素敵にマッチしており、改めて北欧インテリアと日本の建築との相性の良さを感じさせられました。 

希少な家具も見て触れることが出来るので、建築だけでなくインテリアやディスプレー等の仕方も発見が多いので見どころが満載でした。 

今回の北白川エリアは閑静な住宅地でありながら、興味深い建築物も多く、街を歩くのもとても楽しかったです。インテリアの仕事をしている仲間と、色々な意見交換を出来る有意義な時間が過ごせました。この様な勉強の機会をいただき、ありがとうございました。 

会員No.399 岩瀬 百代