ICA関西に所属する会員によるリレー形式で「室内装飾新聞」に「ICの視点」と題してコラム掲載しています。
7月号は、水田恵子さんに担当していただきました。
『ICの視点』 ～ 「インテリアコーディネーターと内装施工業者さんの関係について」
インテリアコーディネーターの水田恵子です。
私はOfficeSPIRALというインテリアデザイン事務所を運営しています。エンドユーザーさんから依頼を受けて、リフォームやインテリアの模様替えなどを主な業務としており、内装施工業者さんには、日頃から大変お世話になっています。
今回、コラム執筆という機会を頂いたので、「インテリアコーディネーターの立場から、施工業者さんと共により良いお仕事をするには、どのようにしたら良いか」について考察してみたいと思います。
もしかすると、皆さんにとっては噴飯ものなお話もあるかもしれませんが、ご一読いただけると幸いです。
今回は、私の日常業務を想定して、リフォーム案件などで、インテリアコーディネーター（以下IC）が元請けとなり、施工業者さんに施工を依頼するという設定で考えてみます。
1． プレゼンテーションについて
ICはお客様と施工業者さんの橋渡し的な役割を担います。
お客様も施工業者さんも、ICに期待していることは同じで「十分なヒアリングやコミュニケーションを通じて、お客様のニーズや希望を的確にとらえる」ことではないかと思います。更に施工業者さんはICに対して、施工業者さんが抱える課題や要望もうまく取り入れて、施工しやすい状況を作って欲しいと考えておられるでしょう。
確かに、インテリアのトレンドは常に移り変わり、新しい素材や技術が日々開発され、社会情勢も変わり、お客様の求めるものはどんどん変わります。その要望や期待と、施工の実情との間には時に両立させることが難しいこともあると思います。
ICと施工業者さんがお互いに理解を深め、より緊密に協力していくことが、お客様に選ばれ、仕事が途切れない事業者になっていくために必要なことの一つかと思います。
2． スケジュール・予算管理について
施工スケジュールについての私の主な仕事は、お客様のご都合と、施工業者さんのスケジュールのすり合わせです。現場の大小によりますが、比較的小規模な「内装・電気・カーテン・家具」のような内容の場合は、それぞれの職人さんに直接発注させてもらうこともあります。いつも最大限に融通をつけてもらい、工事中も、初めて一緒になる職人さんや業者さんもいらっしゃいますが、お互いに譲り合ったり協力したりしてもらっていて、大変感謝しています。
予算管理は難しいと感じることもあります。リフォームは想定外のことも多く発生するので、増額になる場合もありますよね。これについては、ICがお客様からしっかり信頼していただけているか、誠意を感じて頂けているかが鍵と考えています。
その為にも、先に書いたような提案時点でのコミュニケーションが大切です。
できることもできないことも、お客様にしっかり寄り添った上で伝えるのが、ICにできることと考えています。
3． 施工技術を生かしたこだわりのあるデザインについて
逆に、施工業者さんから提案していただきたいこともあります。こんな時にこんなこともできるよ、と色々教えてもらいたいこともあります。
職人さんの施工技術を生かしたデザインは、お客様にも感動してもらえます。それによって、私たちICの価値も上がります。
これについては、私はまだまだで、自分の中の引き出しをもっと増やしたり、デザインの段階で、もっと業者さんに相談できる、時間的な余裕を持ちたいなと感じているところです。
そうすることで、職人さんの価値を一般消費者に伝える役割ができると考えています。
4． 現場作業の際のマナーや留意点について
業者さんのマナーは、技術面とは違ってエンドユーザーが自分の目で見て判断できる部分であり、ダイレクトに評価されるところです。ただ、ここで評価してもらえると、後がとてもやりやすくなります。他で多少譲っていただくようなことが起きても、気持ちよくご協力いただけます。
マンションでは、管理会社や管理人さんとの関係も同様です。
私も気を使っている部分です。できるだけのフォローをしているつもりでもありますので、どうぞご協力お願いします。
また、いくら気をつけていても、現場で思わぬ事故や破損なども起こりえます。そんな時も、オープンな関係を基盤に、協力しあえたらと思います。
以上、インテリアコーディネーターと内装施工業者さんの関係について、私見を書き並べました。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
一昔前にくらべれば、インテリアコーディネーターは現場でずいぶん優しく接してもらっていると思います。
これからも、協力し合って良いお仕事をして、共に発展していきたいと思いますので、ご縁のある業者様、どうぞよろしくお願いいたします。
